外国人の会社設立について
初めに会社設立について説明します。
外国人が会社設立するのは大変と思っていませんか?
日本で外国人が会社設立することは、日本人が会社設立する時と手順は変わりません。
社長になるために必要なビザを取得することが大切なのです。
ビザについての説明は後で説明します。
1.事業形態
個人、法人の2種類あります。(ここでは法人についての説明)
2.法人の種類
法人は大きく分けると2つの種類に分けることができます。一つは営利法人、もう一つは非営利法人です。NPO法人、一般社団法人、一平成30年1月4日一般財団法人があります。
3.会社の種類と形態
株式会社、合同会社、合名会社、合資会者の4タイプあります。
弊社では特段の事情がない場合、株式会社をお勧めしますが合同会社なども最近多くなってきています。株式会社、合同会社、合名会社に関して分かりやすく説明した物を比較表にしましたのでご参考下さい。
会社形態の比較
株式会社 (Limited, Incorporated) |
合同会社 (LLC, Limited Liability Company) |
合名会社 (LLP, Limited Liability Partnership General Partnership) |
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類型 | 株式会社 | 持分会社 | 持分会社(有限事業組合、Partnership) |
出資者 | 株主1名以上 | 社員1名以上 | 1名以上組合員 |
法人格 | あり | あり | なし |
組織の設定 | 株主総会、取締役設置等規定有り | 定款で設定自由 | 定款で設定自由 |
組織内部規定 | 総会取締役1名必要、(会社法に規定)監查役1名 | 社員総会 制約なし (意志決定は執行社員の過半数で決定) |
組合員総会 |
役員の任期 | 最長10年 (役員改選必要) |
なし | なし |
株式の公開 | 可能 | 不可 | 不可 |
決算公告 | 必要 | 不要 | 不要 |
設立時定款認証 | 公証人定款認証必要 | 公証人定款認証不要 | 公証人定款認証不要 |
定款認証費用 | 定款認証 50,000円 | 0 | 0 |
印紙代 40,000円 | 40,000円 | 40,000円 | |
設立登記(登録免許税) | 150,000円 | 60,000円 | 60,000円 |
間接有限責任と有限責任社員 | 株式は有限責任社員 出資範囲内で有限責任を負う |
社員が全員有限責任社員(間接有限社員) 出資の範囲内において有限責任を負う |
社員は無限責任社員 債権者に対して無限責任を負う |
利益と権限の配分又は課税形式 | 利益、権限の配分は出資額に比例 | 利益、権限の配分は自由 | 利益、権限の配分は自由 |
有限責任の範囲内で出資した出資者で構成されて資本(出資者)と経営(代表社員)は分離しており、経営者が利益を出したら出資者に分配するシステム | 社員は出資者(株主)と取締役(役員)の両方を兼ねている ※1. 将来株式会社に変更可 ※2. アメリカ版(パス・スルー課税)のように事業体で得た利益を事業体(団体課税)または出資者(構成員課税)での選択は不可、法人(団体課税)のみとなる |
※1. 法人税は掛かりませんが、構成員課税・組合員個人に所得税が課税(パス・スルー課税)が掛かります ※2. 株式会社に変更可 |
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損益通算 / 欠損金の繰越控除 |
可能 | 可能 | 不可、但し組合員自身が別の事業で生じた損益と通算できる 欠損金の繰越控除も同様 |
業務執行 | 1人以上 | 社員が業務執行 | 社員が業務執行 |
社会保険 | 加入OK、義務あり | 加入OK、義務あり 但し、1人会社の場合は国民健康保険+国民年金も可能 |
加入可能 |
4.外国法人の日本進出
比較表
駐在員事務所を 設置するケース |
日本支店を 設置するケース |
日本支社を 設置するケース(子会社) |
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名称 | 制限なし | 本店と同様 | 制限なし |
法人格 | 無し | 有り | 有り |
登記 | 無し | 有り | 有り |
定款 | 無し(駐在員事務所の事業活動は、本店の定款に従う) | 無し(支店の事業活動は、本店の定款に従う) | 有り(自社の定款に従う) |
資本金 | 無し | 無し | 1円以上 |
権利義務 | 代表者名義で契約した場合、代表個人に帰属する | 本国法人に帰属する | 日本支社に帰属する |
営業活動 | 不可、但し情報収集活動、広告宣伝、市場調査、物品の購入・保管等は可能 | 可能 | 可能 |
意思決定 | 本国本社に従う | 本国本社に従う | 日本支社(子会社)で決定 |
訴訟の問題 | 原則は駐在員事務所代表に 内容によっては及ばないケースもある |
本国法人に及ぶ | 原則本国法人に及ばない |
代表者のビザ | 企業内転勤ビザ ※経営管理ビザのケースあり |
企業内転勤ビザ ※日本に住所がある人を代表者にする必要があります。経営管理ビザのケースあり |
経営管理ビザ |
法人口座 | 不可、但し個人名義で口座開設したり屋号入りの名義で銀行によっては可能 ※屋号とは会社名や駐在員事務所の名称で「屋号+代表者」の名前で口座開設が可能 銀行においては不可のケースもあるので注意が必要 |
可能 | 可能 |
本国への送金 | 特に問題なし | 利益を本国に送金しても原則非課税 外国法人、日本支店の双方向への利益送金は、源泉税の対象にはならない。 |
日本法人の利益を本国へ送金した場合、原則20%課税されるが租税条約による軽減措置あり |
事業年度 | 本店に従う | 本店に従う | 日本支社(子会社)で決定 |
税務申告 財務諸表 |
経費は本社の帳簿に取り込まれるため、仕分けは本店が所在する国の会計基準に則して作成。 | 独立の事業体・恒久的施設(PE)として獲得した所得は日本にて法人税、住民税、事業税及び消費税が課税される。 ※1. 但し例外として日本で納付した法人税等を本国の法人税から差し引くことが出来る制度(外国税額控除)がある ※2. 中小法人の判定又は地方税の外形標準課税・均等割の基準は、外国法人の資本金額が基準 ※3. 日本支店が不動産の売却又は不動産の賃貸をした場合は、相手方は支払時に源泉徴収が必要になる ※4. 外国法人(日本支店)の国際税務はとても緻密なため詳細は専門家にご相談下さい。 |
全世界の所得に課税 日本支社(子会社)の決算書は海外法人(親会社)の連結決算の対象となる。 ※例外あり |
損益通算会計処理 / 欠損金の繰越控除 |
原則可能(損失が生じたら本国の利益と相殺できる) | 可能(本店所得との合算処理が可能) | 不可(日本法人で会計処理が完結の為、本国親会社との相殺はできない) 欠損金の繰越控除も同様 |
社会保険 | 加入は可能 但し従業員が5名以上は義務 |
義務 | 義務 |
労災保険 | 義務 | 義務 代表は不可 |
義務 代表は不可 |
雇用保険 | 義務 | 義務 代表は不可 |
義務 代表は不可 |
5.株式会社設立のメリット
① 社会的信用が高く、金融機関や取引先との信用を得ることができる。従業員の募集等が有利。
② 各種控除、経費・損金が個人事業主より認められている給与所得控除がある。
例) 退職金、生命保険料(限度額あり)、定期保険
③ 政府管掌の健康保険、厚生年金にも加入出来る。
④ 実効税率の低減が図れる
⑤ 欠損金の繰越が法人の方が長い
⑥ 外国人が経営・管理ビザが比較的取得しやすい
⑦ 役員の報酬は原則として経費になる
⑧ 代表者を変更できる、事情によって株を分割して譲渡出来る
用語集
損益通算 | 課税計算する場合において、複数の所得で各々利益(黒字)と損失(赤字)があるときに、利益と損失とを合わせて計算することをいいます。連結納税では、損益通算が可能であるため、連結グループに赤字の連結法人がある場合は、他の連結法人の黒字と相殺することにより、連結グループ全体の税金コストを減少させることができます。ただし、住民税および事業税では損益通算は生じないため、連結納税によるメリットは享受できません。 |
パススルー課税 | パススルー課税は、「構成員課税」とも呼ばれ、法人や組合などの事業組織が稼得した損益(収益)については、投資家や出資者などの構成員に帰属するものとして、その組織には課税せず、構成員に対してのみ課税する方式をいいます。これは、一つの収益が複数の段階を経て構成員(帰属先)に至る場合、途中の段階では課税対象として扱わない仕組みであり、帰属先でのみ課税されるため、二重課税が回避されます。現在、日本において、パススルー課税は、組織面では「有限責任事業組合(LLP:Limited Liability Partnership)」に対して適用される。 |
連結決算 | 企業には親会社だけではなく国内外の子会社や関連会社を含めた企業全体で一つのグループを形成している場合があり、個々の企業の決算を「単独決算」と呼ぶのに対し企業グループ全体の業績が反映された決算のことを「連結決算」と呼びます。具体的にはグループ内のそれぞれの企業の決算を合算しグループ内で行った取引や利益を相殺する形を取っており、企業グループ全体の貸借対照表や損益計算書を連結財務諸表として公開することで企業グループ全体の実像を示しています。(※2019年9月 現在) |
在留資格の「企業内転勤」 | 外資系企業などが、海外本店の外国人社員を日本支店に転勤させることができる就労ビザです。業務内容は「技術・人文知識・国際業務」ビザと同じものになります。 |
無限責任社員 | 会社に対して無限に責任を負う社員のこと。会社が倒産し、さらに債務を会社の財産だけでは弁済できなかった場合、無限責任社員は自己の財産を弁済にあてなければならない。自分が出資した分だけ会社に対して責任を負う有限責任社員とは対照的な存在。そのようなリスクを持つ分、無限責任社員は業務執行権を持ち、経営に大きく介入できる。法律上では合名会社の社員と合資会社の無限責任社員が規定されている。他の形態の会社では社員の責任は原則として、有限責任である。 |
有限責任社員 | 自分が出資した分だけ会社に対して責任を負う社員。会社が倒産した場合、有限責任社員は出資した以上には会社の負債の弁済する義務がない。会社の負債に対して無限の責任を負う無限責任社員とは対照的である。法的には株式会社の株主、旧有限会社の社員、合資会社の有限責任社員に有限責任が認められている。ちなみに、2006年春から日本では新会社法によって有限会社という形態がなくなり株式会社に一本化され、新たに有限責任会社(LLC)という形態が創設された。 |
欠損金繰越控除 | 欠損金とは、財務会計上の赤字のことを指します。ある年度の利益がマイナスになれば、それは欠損金が発生したといえます。欠損金繰越控除とは、この欠損金が発生した翌年度以降、繰越期限が切れる9年間(平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金は10年間)のうちに利益がプラスになった場合、マイナスとプラスを相殺できるという制度です。つまり、現在の赤字によって、将来の黒字を相殺できるということです。現在、2008年4月1日より後に発生した欠損金のみ、9年間の期間で繰り越せます。それ以前の欠損金の繰越期間は7年間でした。また、欠損金繰越控除の控除限度額や繰越期間については近年改正が頻繁に起こっているので注意が必要です。(※2019年9月 現在、法人最長10年、個人3年) |
外国税額控除 | 外国税額控除とは、国際的な二重課税を調整する目的で、外国で納付した外国税額を一定の範囲で税額から控除する仕組みをいいます。日本の居住者や内国法人が稼得した所得は、原則として、国内源泉所得のみならず、国外源泉所得まで含めたいわゆる「全世界所得」に対して所得税ないし法人税が課されることになります。そのため国外での取引等により相手国で課税の対象となる所得を有することになった場合、当該居住者ないし内国法人は、同一の所得に対して日本および相手国の双方で課税を受けることになります。この二重課税を排除するための制度が外国税額控除です。 |
定款認証 | 会社の組織・活動を定めた根本規則(実質的意義の定款)。これを記載した書面・記録した電磁的記録を定款ということもある(形式的意義の定款)。株式会社を設立するには発起人が定款を作成し、これに署名または記名捺印(なついん)(電子署名も可)することに始まる(会社法26条1項・2項)。定款は、その内容を明確にして後日の紛争や不正行為を予防するため、公証人による認証を必要とし(同法30条1項)、その認証を受けなければ効力を生じない。一般に、設立当初に作成された定款を原始定款という。 |
恒久的施設(PE) | 恒久的施設(Permanent Establishment=PE)とは、支店・工場・その他事業を行う一定の場所や代理人のことをいいます。PEは、「支店PE」「建設PE」「代理人PE」のカテゴリーにわかれます。(例)1.支店を設けずに代理店経由で国内で事業を行っていた場合にその代理店が企業のPEとして認定されるケース。2.子会社経由で親会社が国内で事業を行っていた場合にその子会社が親会社のPEとして認定されたケース。国際課税においては、「PEなければ課税なし」という言葉があります。したがって、PEが日本国内にない場合には、企業が事業を行って獲得した事業所得は日本国内においては課税されないことになります。※但し、日本国内に所有する不動産の譲渡を除く。 |
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